2021年度理事長所信

はじめに

 天草本渡青年会議所は1963年に創立され、本年度で58年目を迎えます。58年という長きに渡り、天草本渡青年会議所の歴史が今日まで続いてきたのは、これまでの数多くの先達が地域の課題に真正面から向き合い、仲間とともに議論を尽くし、行動し、地域に必要とされる団体であり続けてきたからです。私たちも先達の背中を追い、誰よりも率先して行動し、地域への奉仕を企画、立案、実行してきました。その中で、己を磨き、目的に向かい価値観を共有する仲間との友情を育むことは、天草地域の持続可能な明るい豊かな社会へと導いていくのではないでしょうか。20歳から40歳までの青年である私たちは、若さ故に、時に失敗もし、時には大きな困難が壁として立ちはだかり、悩むこともあるでしょう。しかし、その失敗や困難を糧とし、次なるチャレンジの一歩とする情熱を持っています。
 アメリカ公民権運動を率いたマーティン・ルーサー・キング牧師のスピーチの中に、「私たちには今日も明日も困難が待ち受けている。それでも私には夢がある。」という有名な一節があります。日本のみならず、世界中が新型コロナウイルスという未知の脅威に晒された時を過ごし、それは日常生活をするうえでも、また青年会議所の運動を行っていくうえでも、大きな壁として立ちはだかりました。それでも、あきらめず情熱をもって運動を続けていけば、その人だけだった情熱が様々な人にも波及し、夢が現実となると考えます。私たちの運動は止めてはいけません。天草というまちの未来、天草の子供たちの未来、これまでの先人たちの紡いできた歴史を想い、一歩ずつでも着実に運動を進めていかなければなりません。

地域資源を未来へつなげる

 全国的に人口減少・少子高齢化社会と叫ばれつづけている中、もちろんそれは天草地域においても、例外ではありません。天草本渡青年会議所は天草地域の人口に寄与する活動として、創立50周年時に中長期ビジョンとして『人口革明』を策定し、様々な環境の変化に柔軟に対応しながらも、2018年に新たな人口革明のテーマとして「天草の海の更なるブランド化」を掲げました。天草諸島は、有明海、八代海、東シナ海と3つの海に囲まれ、様々な海の表情を見ることができます。夏のシーズンになると、県内をはじめ県外からも多くの人がマリンスポーツを楽しむ姿が見られ、年間を通してみても、フィッシングやイルカウォッチング、海の幸などを堪能しに多くの人が来島しています。それだけを見ると既に天草の海というものは一定のブランドとして確立していると言えます。しかしそのブランド力はいつまで続くのでしょうか。海洋プラスチックゴミによる海洋汚染や海産物資源の減少などの海洋環境問題が取り沙汰されている中、ブランド力低下が懸念されているのではないでしょうか。そのような海洋環境問題への解決に向けて、一昨年より天草の海の現状把握や市民への啓発活動の事業を実施してきました。本年はさらに地域を巻き込み、島民が天草の魅力を認識したうえで環境を維持し、高めていくための「天草海の日」の制定を契機として、島外へも広くアピールできる事業を行います。天草地域の宝である天草の海を誇りに思い、その魅力を発信し、この素晴らしい天草の海を未来につなげてくことは、天草地域への未来へもつながっていきます。

これからの未来を生き抜く

 時代は常に変化し続けています。特に昨今のITテクノロジーはかつてないほどの進化を遂げ、特に人工知能「AI技術」は、身の周りを見渡すだけでも、スマートホンやスマートスピーカーをはじめ、最近では車にまで搭載されてきています。この10年間だけ見ても、 急激に変化しているのです。10年後、20年後の未来、私たちの行っている仕事は存在しているのでしょうか。私たちの生活は現在と変わらないのでしょうか。近い未来、日本の労働人口の半分はAI技術やロボットに代わられている可能性があるともいわれています。これからの時代は「言われたことだけをやる」といった消極的な姿勢ではAI技術にはかなうことは出来なくなっていきます。そんな未来を生き抜くために、これまでの学校での教育で重要視されてきた、読み書きや論理的思考、IQといった数値化できる「認知能力」に加え、自制心や忍耐力といった感情をコントロールする力、協調性やコミュニケーション能力といった人とうまくかかわる力、意欲や創造性といった目標に向かってがんばる力とされる「非認知能力」が重要とされる時代になります。いくら学力が高くても、仕事を達成する 力、継続する力がなければ社会での活躍は難しくなるのではないでしょうか。これからの天草地域を元気にするためにも、これからの未来を生きていく子供たちが活躍するための礎を築かなければなりません。

互いを高めあう交流

 天草青年会議所では多くの交流の機会があります。それは、これまでの歴史をつなげてこられた先達との交流、会員同士との交流、地域との交流、諸団体との交流、他LOMとの交流です。様々な方や団体との交流の機会を大切にし、多くの人を巻き込んでいかなければなりません。なぜなら、ひとつの団体だけでは、まちづくりやひとづくりの運動を行うことができないからです。他団体と手を取り合い、協力しながら、互いを高めあうことで、私たちの運動が行うことができ、それが天草地域の発展へとつながっていくのです。 また、地域発展のためには、未来を見据えることだけではなく、これまで先人たちがつないできた郷土の文化も大切にしていかなければなりません。天草の文化といえば、郷土芸能の天草ハイヤがあり、天草本渡青年会議所としても、明豊躍友会で様々な場所での披露の機会があります。本年も元気な明豊躍友会の姿を広く市民の方へ披露するだけでなく、次世代へも郷土の文化を継承していき、郷土への想いをつなげてまいります。

SDGsの推進と実践

 SDGs(持続可能な開発目標)は2015年に国連で採択され、2019年から日本青年会議所が日本で一番SDGsを推進する団体として運動を展開してきました。JC活動だけではなく、メディアをはじめ、コンビニ、スーパーにいるまで、SDGsという言葉を目にする機会が増えました。一方で、SDGsウォッシュという言葉も耳にすることが多くなりました。このSDGsウォッシュは30年ほど前に海外で流行した「グリーンウォッシュ」から連想された言葉で、「うわべだけのSDGs」や「真剣に取り組んでいないSDGs」という意味とされています。天草本渡青年会議所もSDGsの推進を事業として行い、諸団体とともにSDGsについて勉強をしてきました。各事業においても、SDGs17のゴールを紐付け、事業を行ってまいりましたが、今後は自らが率先して、より具体的に行動 してまいります。例えば、例会や理事会にはマイボトルを持参するなど、最初の一歩は小さいかもしれませんが、まずは実践しなければいけません。日本で一番SDGsを推進する団体に所属している身として、出来ることから実践していくことが重要です。青年会議所は「意識変革団体である」とよく言われます。まずは身の回りの事から意識を変え、それが団体を変え、地域を変えることになるのです。

熊本ブロック大会の主管

本年度、天草本渡青年会議所は2008年以来13年ぶりに熊本ブロック大会を主管させていただきます。天草でブロック大会を主管させていただいた2008年当時に在籍していた会員はほぼいなくなり、他LOMで開催されたブロック大会を経験したことのある会員も決して多いとは言えない中、2018年に主管させていただいた九州地区大会の経験を少しでも活かし、地域資源溢れる天草の魅力を発信するとともに、地域課題解決へ向けた発信を行い、天草の活力ひいては熊本全体の活力の一助とします。それには、会員ひとりひとりの共働意識が不可欠となります。一年後、天草本渡青年会議所にとって何が財産として残せるのかを、しっかりと会員自らが考え、LOMの未来がより良い方向へと向かうことができるように、本年度のブロック大会に臨んでまいります。地域の為、LOMの為、参加していただける志を同じとする仲間の為、熊本ブロック協議会の運動が最大限に発信できる場として会員すべての力をもって構築していきます。

組織運営と会員拡大

 青年会議所はその名のとおり会議を行い、地域課題の解決に向けて議論を行っています。しかし、新型コロナウイルスの影響は会にとっても大きな変化を与えました。一堂に会して会議や事業を行うことが出来ないことを経験し、会議の在り方もWEB会議、事業もWEB配信という新たな手段が加わりました。このように時代の流れに即して、柔軟に組織運営の在り方も変えていかなければなりません。しかし、変えないところは伝統としてより大切にし、変えるべきものはただ変えていくのではなく、進化していくべきなのです。伝統と進化を融合し、天草本渡青年会議所の組織力をさらに飛躍させていくことは、今後展開していく運動を行っていくうえで絶対に必要なことであり、地域にとって必ず必要な団体としてあり続けるための重要項目です。JCIミッションの唱和で、To provide development opportunities that empower young people to create positive change(よりよい変化をもたらす力を青年に与えるために、発展・成長の機会を提供する)と唱和しています。青年会議所は単年度制であり、組織ややることが毎年違います。その違いを通して多くの学びの機会を掴むことができます。仕事の場以外において、様々な学びを得る機会は青年会議所以外にはないと思います。多くの学びの機会を得て学ぶからこそ、個人スキルが向上し、仕事へ反映することで天草の明るい未来へもつながっていきます。この想いを会員自らが心に受け止め、積極的な会員拡大を行ってまいります。

むすびに

 10年ほど前までは天草の未来のことについて、考えたことは一度もありませんでした。しかし、天草で生まれ育ち、一旦は郷土を離れましたが、帰郷し日々仕事をしている中で、天草という地域に生かされているのだということに気付きました。地域に生かされているからこそ、地域に奉仕をしなければならないと思い、そこから少しずつですが、天草の未来の事を考え始め、青年会議所の門を叩きました。入会をしてから、多くの方との出会いがありました。職業も年齢も異なり、それぞれの会員が素晴らしい個性を発揮しているこの団体で、刺激を受け、それが私自身にも多くのことを奮起させる原動力となっています。青年会議所はまさに雲龍風虎だと思います。龍のいるところに雲が現われ、虎のいるところに風が吹く。似たもの同士が引きつけあうという意味のこの言葉のとおり、会員それぞれの個性は違いますが、目的は同じであろう私たちが強烈な個性をもって互いに引きつけあい、刺激を受け与え、それが相乗効果となり爆発的な力を生み出します。その力がまさに天空へ駆け上る龍の如く、天草の未来をより良い未来へと変えていくことができると確信しています。私たちには明るい豊かな社会を創造する夢があり、未来を変えていく力があります。会員それぞれが情熱を持って運動に向き合い、少しだけ背伸びをして夢へと突き進んでまいりましょう。


年間方針

基本方針

1 地域と共働するまちづくりの実施
2 未来を生き抜く青少年の育成
3 互いに高め合う交流の実施
4 SDGsの推進と実践
5 地域の未来を考える熊本ブロック大会の主管

運営方針

1 100%例会の実施
2 厳格なセレモニーと活気溢れる例会の実施
3 ルールに沿った効率の良い諸会議の運営
4 天草の未来を考える同志の拡大と柔軟な組織運営